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最愛 序章・夢みた後で

久しぶりにあの頃の夢を見た。
何故だろう。
いいことの前触れか?
まさかな。
ああ、そうか。
きっとあの場所が壊されることになったからだ。
一昨日、車で前を通ったら立ち入り禁止の囲いがあちこちに張り巡らされていたな。
『開かれた交流の場』
月に一度配布される市の広報誌に完成予定図と一緒にそんな言葉が書いてあったのを思い出した。


小さい頃、母親にあの公園によく連れて行ってもらった。
どれもこれもすでに古かった。
小さな土手の上にある、グルグル回る乗り物で酔って吐きそうにもなったな。
箱乗りブランコ。
ある日突然、撤去されたけど嫌いじゃなかった。
砂場は親以外の人間を初めて僕に教えた。
シャベルで理由なくぶたれた時は泣いた。
今でもあの理不尽な行為に感じた悔しさを覚えている。

でも一番の場所はあのバスケットゴールだ。
ボロくて……ネットなんてなくて……
錆びてて……
でも好きだった。
きっと、ずっと、あそこから始まった僕たちの成長を見ていてくれた。

あの場所は
あの場所だけは僕たち二人の場所だ。

僕たち……
僕たち……

君はあの場所を覚えているだろうか。
たまには、思い出してくれているだろうか。

そんな二人の場所が無くなってしまうよ。
壊されてしまうよ。

今の僕たちみたいに。
何もなかったように。
別々の新しいものを簡単に受け入れてしまうよ。

せめて……その最後を君と一緒に見届けたかったな。
そして、そう。
そこからまた君と何かを紡ぎ始めたかった。
新しい何かを期待しながら。

ねぇ……君は覚えているだろうか。

あの頃の、僕たちを……


時計を見ると五時だ。
僕は朝の散歩に出ることを思い立った。
「どうしたの、急に」
きっと驚かれるだろう。
でも僕は何かに導かれる様にベッドから抜け出た。

目的地は当然、あの公園だ。
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