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第三章 群青の支配 4

 女王様……そう、私は女王様。朱美だってそのつもりで私を誘ってくれたのだから、私もなりきらないと。
「わかったわよ。でも、自分でするから……そこの中で」
 私は、一昨日あったウォークインクローゼット辺りを見た。
「ダメだよ。こういう関係は信頼が大事なんだから。身を任せて。じゃないと、俺だって全部を任せられない。今日だって麗香さんが来てくれることを信じて、俺は大事な場所に鍵をかけたんだよ。麗香さんも証明してよ。信頼関係を築きたいでしょ?」
 隆一君は、ね?と無言の確認をしてから、私の服に手をかけた。
 信頼関係と言われて、納得もするし嬉しくも思う。
 けれども、これほど心許ない想いなど過去にしたことはない。女王様と言う名の通りに毅然としなければと思うのに覚えるのは羞恥心だけ。息遣いにすら細心の注意を払って立っている。
 ブラウスのボタンを外されて、スカートのファスナーを下ろされる。
 ストッキングを脱がすためにスリップの中に両手を入れられた時には、微かに「あっ」と言ってつい腰を捻っていた。
 せっかく選んだスリップ、ブラジャーと剥がされていく。
 隆一君は、肌に触れてはいけないと思っているみたい。極力触れないような繊細な手つきだから余計に素肌の感覚が研ぎ澄まされる。
 膝をつかれてショーツを下ろされた時には、息を止めていた。
 全てを脱がしたところで、隆一君はそれらをハンガーにかけ始めた。
「恥ずかしいわ」
 カーテンをしっかりと閉められた部屋の中とは言え、一人で全裸。私は左右の手で陰毛と両方の乳房を隠していた。隆一君は、私が脱いだものを三つのハンガーにかけて、ウォークインクローゼットの中に入れた。
「さぁ、着ようか。きっと似合うよ」
 その声で、隆一君の顔を見た。顔の熱が一段上がった。目が合うと余計に恥ずかしくなる。だから、脱がされている間は、隆一君を見なかったの。群青の壁をじっと眺めていた。十二分すぎる年上の私の裸を見る隆一君の表情も見たくなかったから。

 隆一君は、頬を緩めてエナメルのスーツを大切そうに両手に乗せて近づいてくる。
 その表情にこちらも微笑む。けれども、疑念も湧く。
 全裸にしたのに、また着せようとするとはどういうつもりなの。
 私とはセックスをしないつもりなの?
 そのためのベッドまであるのに。
 足を通すために隆一君の肩を借りながら思っていた。
 ヒップを合せて、そのままエナメル生地は胸を覆い、肩まで上がる。気が付かなかったけれども、ガーターベルトも付いていたからストッキングも穿かせられた。ちょっと待ってと言って、細い踵に鋲の装飾が付いたハイヒールまで差し出される。
「ああ、すごい。ほら、言った通りだよ、似合う。すごいよ、似合う」
 隆一君は、大絶賛をしてくれる。恥ずかしい、けれども嬉しい。そして、ホッとした。
 落胆させたくなかったから。
 そんなに悦んでくれる姿をどうせなら見たい、と思っていると隆一君は一か所の壁を横にスライドさせた。
 現れたのは大きな鏡。
「ほら、見てよ」
 映し出されたのは、ほぼ完璧な女王様。ほぼと付けるのは、もう少しウエストがくびれていると思っていたから。太腿にもハリが見えない。
 けれども、きつめのメイクをしてきて正解、と思えるほどの姿だった。ハイレグな切れ込みに窮屈そうにはみ出ている胸。年甲斐もなくと言えば大いにそうだけれど、隆一君を悦ばすものと思えれば、私の悦びにも変わる。

「じゃあ、次は俺だね。俺を開放してよ」
 私は、頷いてネックレスを外した。
 隆一君は、前回と同じように一人で服を脱いでいく。
 股間には、貞操帯がきちんと着けられていた。
 若く綺麗な躰に異様な器具。
 やはりそれは、異様なもの。着ける時にはドキドキとしたけれど、どうやって楽しめばいいのかわからない。
 若い躰には、一昨日のような勃起が似合う。本能のままに猛り狂う勃起が。
 でも、楽しまないと。それを隆一君は望んでいるのだから。
「苦しかった?」
「そりゃ、当然ですよ。穴が開いているから、用は足せるけど洗えない」
 私は鍵を開けた。先を外すと赤くなっていた。少し湿り気があるような。睾丸の後ろのリングを外している間に陰茎部分がムクムクと大きくなった。
「あ、恥ずかしいよ。麗香さんを見ているとすぐに勃っちゃう……もっと辱めていいんだよ。俺は麗香さんを悦ばせたいんだ。俺だけの女王様だから」
 隆一君は、身を低くしたと思ったら四つん這いになった。ズリズリと這いずってきて、顔を落とした。私の靴先にキスをしたの。
「ねぇ、躾けて。躾けてください、女王様。そこにあるでしょ?好きなのを選んで」
 そこ……伏せたまま指差す先にあるのはベッド。その上に、アタッシュケース。え?いつの間に……。
 私は、伏せたままの隆一君を見下ろしてからベッドに向かって、アタッシュケースを開けた。


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