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archive: 2015年01月  1/4

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〈輪辱の契・健太の章 25〉

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「珠樹さんですか?」驚いた。おれは、少しだけ身を乗り出して訊き返していた。貴島さんはゆっくり大きく頷いてから、手酌でビールを注いだ。「あ、すみません」「いいですよ、気にしないでください。友人として会っているんですから」貴島さんはおれのグラスにもビールを注いでくれた。「珠樹、最近様子が変なんです」「変?」貴島さんは瓶を置いて、おれを見ない口実のように自分のお好み焼きを箸で切り分け始めた。「多少の浮気...

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〈輪辱の契・健太の章 26〉

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そんな貴島さんのためだから可能な限りしもべになるつもりだ。いざ、連絡。忘れられないからまた始めたい、なんて誤解はされたくない。貴島さんに頼まれてというのも悟られたくない。様々なシミュレーションの後に、教えられた珠樹さんの番号を押した。「久しぶりじゃない、どうしたの?」三回のコール後に始まった会話は以前と変わりないように思えた。おれの番号も残しているようだ。「元気かなって思って」「ご心配ありがとう……...

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第五章 双愛漂うイランイラン 1

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『実はこれでも、もし、なんてことを考えたことがあるんだ。美咲はひとっことも離婚してなんて言ってくれなかったけど』赤羽がなんとか探し出したキッチンペーパーで割れ目を拭いながら言ったセリフだ。美咲は何も返せなかった。ただ、赤羽に抱きついて少しだけ濃くなった赤羽の匂いをもう一度深く嗅いでいた。赤羽とも終わった。本当に終わった。やはり寂しい。美咲はぼんやりと遠くを見ながら駅のホームで電車を待っていた。司と...

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双愛漂うイランイラン 2

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気のせいだったのかな?司ちゃんがいるところでもマイク調節なんて、偶々、ものすごい偶然?それとも、そう感じただけかな?錯覚?考えながら美咲はその音の出どころの周りを歩いてみた。アイドルなのか、声優なのか、見聞きしたことが無い女性らしき名前が書いてあるポスターの前にはCDが積んである。背の高い司の姿はやはりない。打ち合わせ中を考えて、電話を返すことも出来ない。美咲は仕方なく自宅に帰った。司が来ると言うな...

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〈輪辱の契・健太の章 27〉

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でも成美はこんなことをしない。こんな……下種なこと。手を出すのを戸惑っていると、黒服に促されたために席に着いた。席の頭上の壁には何故か手錠がぶら下がっている。嫌な心臓の鼓動を感じる最中、飲み物を訊かれて、ライトを当てられた小さなメニューも見ずにビールと応えた。薄暗い状況に慣れた目が周りの様子を映し出す。噂にだけは聞いたことがあるカップル喫茶か?さっきのワンワンプレー中の三人を外したら、三組ほどのカッ...

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〈輪辱の契・健太の章 28〉

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珠樹さんが横に立つと、男性たちはおしゃぶりさせながら顔を上げた。ソファー側の男性に珠樹さんが耳打ちする。こういう店に来る女性のレベルは分らないけど、珠樹さんならいくらでも歓迎されるんじゃないかな。おれは成り行きに全神経を傾けながらビールを飲んだ。急に男性二人の視線がおれを捉えた。何を思っているんだろう。おれたちの関係をなんだと思っている?珠樹さんはソファーに立ち上がった。少ない人数なんだ。小柄でも...

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〈輪辱の契・健太の章 29〉

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「ねぇ、もっと」ねっとり言葉の後に、ぐにゅっ。もろ指に触れた。女性は足を開いてショーツを寄せていた。指は欲望が作る一瞬におれを引きずり込もうとする。でも、気持ちは動かない。「ちょっ」手を引こうとすると女性は両手でがっちりと手首を掴んだ。「なによ、普通は喜んで部屋に誘うわよ」「部屋?」「ヤリ部屋よ」ヤリって……大丈夫なのかよ、この店。警察入るんじゃないのか?「指輪、見えたけど結婚しているんでしょ?あの...

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〈輪辱の契・健太の章 30〉

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それから半年が経った。途中の夏休みは関西の巨大アミューズメントパークに行った。青いモサモサの着ぐるみを見つけて、陽菜は怖がりながらも大興奮だった。陽菜と一緒に親子ダンスをした、父兄綱引きではりきった、運動会も終わった。もうすぐ陽菜の誕生日だ。一年って早いね。今回はケーキ作ってみようかな。今朝、成美がそんなことを嬉しそうに話していた。エクボを浮かばせながら。おれの不貞を疑いながら。おれは珠樹さんに身...

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〈輪辱の契・健太の章 31〉

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せっかく家族の元に返してあげた……珠樹さんの言葉から、あの最後の時はわざとだったと理解した。どうして浮気への誘いに乗ったのかは分らない。でも、珠樹さんはおれの不甲斐なさに警告を出してくれたんだ。心無いことをやり続けて、本当に大事なものを失わないようにと。そのことには感謝している。おれが馬鹿だった。そう思ったから、だったらおれはと、珠樹さんに告げた。今みたいなことはやめて欲しい。珠樹さんらしくない。い...

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双愛漂うイランイラン 3

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思わぬ嬉しさに飛びつきはしたが、司の言葉といい、納得が出来ない状況だ。見れば樹は鞄と大きなビニール袋を提げている。美咲はスリッパを出してから、樹に訊いていた。「どうして樹さんがいるの?」「は?なんだよ、今俺にしがみついたじゃないかよ。『寂しかったぁー』感全開で。それとも、司だけが良かった?だったら、お邪魔は消えるよ」樹はズンズンと部屋を進んでビニール袋をカウンターに、鞄をソファーに置いてから、勝手...

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