FC2ブログ

archive: 2014年03月  1/3

スポンサーサイト

No image

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 1

No image

「お母さん、早くぅ。バス来ちゃうよ」「待って、今行くから」わたしはオーデコロンをお腹に一吹きして娘のいる玄関に急いだ。おっと。玄関数歩手前のトイレのドアが開いた。夫だ。手にはレポート用紙と筆ペンを持っている。「なんでさ、幼稚園のお見送りにそんなに気を使うの?急にコロンなんて着けちゃって」「んー?前から着けてるじゃない。あなただって前はプレゼントしてくれたでしょ。石鹸のおまけに付いていたのが気に入っ...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 2

No image

「あ、陽菜ちゃん。おはようぉ、今日も寒いねぇ」伊藤さんが気が付いて小さく手を振ってきた。活発な杏奈ちゃんの手をしっかりと握っている。ボンボン付きのニット帽が似合う伊藤さんはいつも元気。伊藤さんと話をしていた片山さんも振り向く。「あ、おはよう」という言葉と共に笑顔。「おはよう」わたしも髪を耳にかけながら挨拶をして陽菜の手を繋いだまま片山さんの横に立った。いつもの朝。毎日同じことが繰り返される。「そう...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 3

No image

「でもさ、寂しいなぁ。来年……ああ、四月からは毎朝一人だから」片山さんはクッキーをパクンと口の中に放り込んだ。一口サイズのクッキーはチョコチップ入り。片山さんが焼いたもの。片山さんが言っているのは伊藤さんの杏奈ちゃんとうちの陽菜が卒園してしまうと園バスを待つのが自分と亮君になってしまうということ。「他に入る人いるんじゃないかなぁ。あの幼稚園人気あるから。去年は五人ぐらいがあそこから乗っていたんだよ。...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 4

No image

「ご飯は?食べる?」「うん」亮君と陽菜は隣り合って座って食べた。麦茶を出してわたしはいつも夫が座る席で二人を眺めた。「おいしいでしょ?お母さんのご飯」陽菜の言葉に亮君は口をパンパンに膨らませて頷いた。「嬉しいな。おいしいって思ってもらえて。亮君のお母さんもお料理上手でしょ」亮君はゴクンと飲みこんで嬉しそうに笑った。「うん、パン作るの習いたいんだって」「へぇ……作ったら分けてもらおうかな」わたしが言う...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 5

No image

ありがとうございました。翔は軽い捻挫でした。大袈裟なんだもん。本当に助かりました。また明日ね。あれからすぐにあった片山さんからのメールを再度読んでいると夫が珍しく寝室に入ってきた。わたしは携帯を枕脇に置きながら訊いた。「寝るの?」「うん。電気消していい?」「お願い」夫はスイッチを押してから布団を捲った。「誰から?メール?」「え?ああ、片山さん……園バスが同じ人だよ」「ふーん」園バスには興味がないのか...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 6

No image

甘い匂いがした。ボディーシャンプーか。「満足?もう匂いしないだろ」夫は手を引いて太腿に添えた。割れ目に唇を押し付けられてはぁっと熱い息をかけられる。「あっ」驚いて腰を引くと逃さないとばかりに両手で淫唇を開いた。左右の花弁を丁寧に舐めてから膣口、クリトリスをベロンと舐め上げる。それからクリトリスの上で舌先を左右に動かした。小さな器官へのそれだけの愛撫が躰中へ拡がる熱を作り出す。男を求めて膣口に幾度も...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 7

No image

ズルンッ。夫が躰を倒した拍子に勢いよく滑った亀頭が子宮にぶつかった。「ああああああっ」わたしは抱きついた。夫に絡まる肢体が小さく痙攣している。「そんな反応されると俺まで逝きそうになるよ」夫は首筋に咬み付くように唇を当てて動き出した。しがみついている背中が上下するたびに苦しい気持ち良さが少しずつ強まる。繋がりで作られる陶酔がジワンジワンと四方八方に流れていく。「ああっ……はぁ……」わたしの喘ぐ声に合わせ...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 8

No image

二年ぶりの夫とのセックスはわたしへ楔を刺すものとなった。わたしは結婚している。結婚したの。だから駄目なの。だいたい逢ってどうするの?なにを話すの?なにを……するの?携帯を握りしめはしても渡された孝明さんの名刺を眺めては財布にしまった。毎朝会うのに逡巡する時は片山さんの顔を思い出さない。それどころか自制を促そうとすればするほど心と躰は熱くなった。掃除をしていても、日中通っている市営の温水プールに足を向...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 9

No image

なんのために……。ってなに?来る?近くの駅って……どこ?それとも諦めた?家を出てしまおうか。……出られるわけがない。わたしは姿見の前に立って今の服装、髪型をチェックしていた。寝室のドアをきちんと閉めて下に降りた。来る?来ない?来て欲しい?来ないで欲しい?時間が長い。心臓が痛い。躰が……熱い。玄関の靴も脇に揃えた。じっとしていられなくて掃除したばかりのリビングを何度も見渡した。洗面台もキッチンも……そして……浴...

  •  closed
  •  closed

〈淫花の断章・成美の章〉 10

No image

でも……。「やめてっ」わたしは孝明さんの中で強引に身をよじって逃れた。「お願い!!結婚したの。夫を裏切れるわけないでしょう?そんなことするなら帰ってよ」孝明さんは叩きつけられた言葉と自分を睨み付けるわたしの様子に驚いたみたい。哀しい顔を見せて肩を落とした。「ごめん。分かった。そうだよね。お茶を飲んで帰るよ」「うん……そうして。ソファーに座ってて」応えながら寂しくなる。心も躰も本当は待っていたんでしょ。わ...

  •  closed
  •  closed
現在の閲覧者数:
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。